■趣 旨
公益通報者保護法が2006年4月1日から施行されています。
この法律は、労働者が公益通報をしたことによって、雇用主から不利益処分を受けないことを定めたものです。公益通報者保護法の施行の背景には、公益通報(内部告発)に関する社会の意識が高くなっていることにあります。
また、公益通報制度自体は、新・会社法により大会社に導入が義務づけられた内部統制システムの一環としても機能するものです(会社法施行規則100条1項4号ご参照)。
さらに、金融商品取引法は、一定の有価証券報告書提出会社に対し財務報告にかかる内部統制の評価をした内部統制報告書の提出を義務づけていますが(同法24条の4の4)、この内部統制の目的達成のために会社が整備すべき基本的要素の1つである「モニタリング」の内容として「内部通報制度」の重要性が挙げられています(「財務報告に係る内部統制の評価及び監査に関する実施基準」)。
このように、公益通報制度は、内部統制システム整備の一環としての重要性が益々高まっており、通報窓口(ヘルプライン、ホットライン)を整備していないことによるリスクは、非常に大きくなる可能性があります。
公益通報の対象となる事象は、会社にとっても、出来る限り早期に解決しておく必要がある事柄であり、また、通報窓口を設けることによって、第一次的には、会社に情報が集まり、会社による自主的な解決が可能となるものです。
そして、通報窓口が整備されていないことは、内部統制システム構築義務違反として、役員代表訴訟の原因ともなりかねません。
なお、内閣府国民生活局は、「公益通報者保護法に関する民間事業者向けガイドライン」を公表していますが、その中で、新しく通報窓口を設置する場合、法律事務所等に委託するなど、事業者の外部に設置することを挙げています。詳細は、内閣府の公益通報者保護制度ウェブサイトをご覧ください(http://www.caa.go.jp/seikatsu/koueki/)。
■ホットライン(ヘルプライン)の内容
当事務所は、公益通報ホットラインサービスをご提供させていただいております。内容は、通報窓口・相談窓口の設置、助言、相談案件の処理に関する一切の事柄であり、公益通報の受付および会社に対する公益通報制度に関する各種ご相談ならびにこれらの対処などとなります。電話・メール・ファックス・手紙・面談いずれの方法も対応しております。
その他の詳細につきましては、お問い合わせをお願い申し上げます。
2009年1月
弁護士 出 澤 秀 二
当事務所では、2009年5月21日から裁判員制度が実施されることに伴い、当事務所と顧問契約を締結していただいている企業の役員、従業員及びその家族の方を対象に、裁判員候補者名簿に登録され、または裁判員に選任された場合の疑問や不安を解消し、安心して裁判員となっていただけるように「裁判員サポート窓口」を設置し、制度の説明や疑問点への回答、アフターケア等を含めた総合的なサポートを提供させていただくことになりました。
裁判員制度とは,「裁判員の参加する刑事裁判に関する法律」に基づき、国民が裁判員として刑事裁判に参加し,被告人が有罪か無罪か,有罪の場合は刑の重さはどうするかを裁判官および他の裁判員と話し合って決める制度です。
従来の刑事裁判は、専門家によって精密に運営されてきたものですが、専門的な正確さを重視する余り審理や判決が国民にとって理解しにくいものであったり,一部事件において判決が出るまでに長期間を要するなど、不都合な点が指摘されていました。
そこで、裁判員制度を通じて、刑事裁判に国民の視点,感覚を反映させ、裁判に対する国民の理解を深め、また、迅速な裁判を推進することによって,司法に対する国民の信頼が一層高まることが期待されています。
このように裁判員制度は、刑事裁判が長らく法律の専門家である弁護士、検察官、裁判官のみによって運営されてきた我が国において大きな転換点となる非常に重要なものです。皆様も負担面のみに目を奪われるのではなく積極的に参加していただくとともに、会社の立場から、役員、従業員等の方々が参加しやすい環境整備をしていただければ幸いです。
「裁判員サポート窓口」の詳細は、別途ご案内させていただきます。
「裁判員制度のてびき」はこちらです。
以上